実を言うとかなりやりたくなかった企画なのですが、とうとう出してしまいました。と言うのも、やっぱりフレックスボディを買った時にやりたかったなーと思うのです。ハッセルのボディは直線と曲線が素晴らしく融合された機体なので、「微妙なパースはつけたくないな。」なんて思うのです。
しかし、これだけデジタル化が進むと「一体どうやって撮ったの?」なんて質問も出なくなってしまい、ものすごく苦労して「一体どうやって撮ったの?」みたいな作品を作っても、私自身写真の仕上りに感動しなくなっていたりしますね。 そうなるともう技術というのはそっちのけになってしまい、只々感性のみの追求になって来たりしています。すると「アオル」というのもパソコンであっというまにアオれてしまい、アオって形を整えるという行為自体そのものが写真を作っていく上での一つの手段でしかない事に改めて気づいてしまいます。 もちろん、今回のこの写真達はデジタル上でアオッたり、合成したりといった手法は加えていません。 その分、やっぱり「ここをこうしたい、あーしたい」というのが出てくるのですが、それをやるともう私の中で自分の撮った写真としての魅力が半減してしまうのです。しかし、やれば写真としての完成度が確実に良くなるのはわかってます。 一言でいえばデジタルで手を加えてしまったら、その写真をトリミングした事とおなじことだという事です。 じゃあ、「どこまでなら許せるのか?」 トーンカーブ、レベル補正、スタンプツールでのゴミ取り、覆い焼き、焼き込み、滲み、ぼかし、多少のアオリ、これらのツールは現実の暗室の中でもできる事だから許せるのか? 結局理由は簡単な事柄で、デジタルで手を加えた写真が HASSELBLAD で撮れない写真になってしまったら「嫌だな」ということだったりします。逆にいえばそういう写真を作りたければ「HASSELBLAD で撮らなくたっていいじゃない、4x5 できっちりアオればいいじゃない」という意見にたどりついてしまいます。 このホームページを立ち上げる時に「HASSELBLAD の写真を HASSELBLAD で撮るべきか?4x5 できちっと撮るべきか」散々なやんだことをいまさらながら思い出します。結局 4x5 で撮ったのですが。 アークボディ、もしくはフレックスボディがあればあっさり解決する事かもしれません。 最近、よく思う事は、「不安定な材料が残っていれば残っている程リアルな構成が大きくなる」という事を改めて実感するということ。 撮影データは、CF50mm、C150mm、中間リング使用、GT9600で取り込み。加工は PhotoShop6.0(Windows2000Pro) と The GIMP 1.2.1(FreeBSD 4.3-RELEASE)。(2002.1.5 記) |